建築工事監理実習

配当学年  大学院後期
開講期  後期
担当教員  金多隆・水川尚彦(非常勤)

授業の概要・目的
建築士法ならびに建築基準法に規定される工事監理(者)、および設計監理業務委託契約ならびに工事請負契約において規定される監理(者)の業務内容ならびに具体的な業務の進め方を実際のプロジェクトに即して理解する。
次に、過去に生じた工事監理に伴うトラブルとその対策について、その問題点の検証と考察を、実習を通じて行う。
さらに、過去のトラブル事例に対する知識を深め、実際の実務で必要な対応能力を養う。

授業計画と内容

■ 日本の建築生産とそれをとりまく法制度の理解
①法制度と契約・契約約款として、建築基準法、建築士法、建設業法、(四会連合協定)設計・監理業務委託契約約款、(民間連合協定)工事請負契約約款をとりあげ、それらの解説と理解。 ②国土交通省告示15号について、告示の内容の理解、内容の解説、設計との関係の理解。

■ 建築プロジェクトにおける工事監理関連用語と工事監理業務の全体像の理解
①工事監理関連用語について、監理と工事監理、設計図書と契約図書、工事監理と施工管理、設計と工事監理、その他業務等の解説。 ②建築生産プロセスに沿った工事監理業務、具体的には設計からの業務引継ぎ、設計図書・契約図書の把握、工事監理方針の策定等、工事進捗とともに変化する工事監理業務について解説する。

■ 実際のプロジェクトに基づく工事監理業務の理解
実際のプロジェクトに基づく工事監理業務に関して、①工事監理のガイドライン・各種の工事監理要領、②工事監理実習(建築)、③工事監理実習(構造)、④工事監理実習(設備)、⑤品質確保と工事監理にわけて解説、また、建設現場に入って具体的に体験する。

■ 工事監理に伴うトラブル事例の理解
トラブル事例として、①裁判、紛争処理センター等におけるトラブル事例、②文献にみるトラブル事例、③実際の工事監理におけるトラブル事例、④諸外国における工事監理について紹介し、かつ解説するとともに議論する。最後に学習到達度の確認をフィードバック授業として行う。

教科書
なし
参考書等
新建築学大系44「建築生産システム」彰国社
日本コンストラクション・マネジメント協会「CMガイドブック」相模書房
古阪総編集「建築生産ハンドブック」朝倉書店
大森文彦「建築工事の瑕疵責任入門」(新版)大成出版(2007年)
大森文彦「建築士の法的責任と注意義務」新日本法規(2007年)
国土交通省大臣官房官庁営繕部監修「建築工事監理指針(平成19年版)」社団法人公共建築協会(2007年)
日本建築学会編:信頼される建築をめざして-耐震強度偽装事件の再発防止に向けて-、日本建築学会、2007.5.27
古阪秀三編著:建築生産、理工図書、2009.10.1
建築のあり方研究会編:建築の営みを問う18章(分担執筆)、井上書院、2010.4.10
日本建築士会連合会設計等業務調査検討部会(著)建築士の業務―設計及び監理業務と告示第15号(分担執筆)大成出版社、2012.10.15