建築生産Ⅰ

配当学年  第2学年前期
担当教員  金多隆

授業の概要・目的
企画,設計,施工,保全からなる建築生産活動を対象にして,生産活動を構成する主体とその役割,これらが構成する建築生産システムについて,基礎的事項を解説する。また,建築生産に関連する分野について,国家資格「一級建築士」に要求される水準の知識を習得させるとともに、生産システムの基礎概念について習得させる。なお、一級建築士対応の「建築施工・建築積算」は主に建築生産Ⅱで講述する。

授業計画と内容

建築生産概論
建築生産の意味,建築生産IならびにIIで講義する内容とその意図等について解説する。

建築市場
国内外の建築市場の規模,フロー/ストックにわけた経年的変化など建築活動の全般を計量的に解説する。

建築生産システム
建築生産システムを構成する要素を主体,諸規範・基準,業務・役割に分けて解説し,その組み合わせとして編成される建築プロジェクト組織の典型とバリエーションについて,契約方式,施工方式,生産者関与などの観点から講義し,建築プロジェクトの組織化の方策について解説する。最後に建築生産システムの概要が理解できたかどうかのQ&A等を行う。

建築生産における企画
建築生産プロセスの概要と分節を示し,建築生産の観点から,建築企画の必要性と可能性,担当者,実現性・採算性の検討などについて解説する。また,欧米におけるブリーフィング,プログラミングに関しても解説する。

建築生産における設計
基本設計図書・実施設計図書に盛り込むべき内容を解説する。また,各種設計支援技術とコスト管理について解説する。具体的には,信頼性・保全性設計、デザインレビュー,コンカレントエンジニアリング,協調設計,生産設計,積算,バリューエンジニアリングの意義と取り組みを紹介する。

建築生産に関わる法と制度
建築生産と関連の深い建築士法,建設業法,設計・監理委託契約,工事請負契約について解説する。また,ISO9000s(品質管理),ISO14000(環境管理),製造物責任(PL)法,住宅の品質確保等に関する法律(品確法)など国際化に対応した法ならびに制度に関して,成立の背景,その考え方と特徴,建築生産に与える影響,従来の法制度との差異などについて解説する。さらに、建築生産プロセスの各業務の概要が理解できたかどうかのQ&A等を行う。

教科書
古阪秀三編著「建築生産」理工図書
参考書等
新建築学大系44「建築生産システム」彰国社
日本コンストラクション・マネジメント協会「CMガイドブック」相模書房
巽和夫・柏原士郎・古阪秀三「進化する建築保全」学芸出版社
建築図解事典編集委員会編「図解事典建築のしくみ」彰国社
日本建築学会編「マネジメント時代の建築企画」技報堂出版
日本建築学会編「まちづくり教科書第5巻『発注方式の多様化とまちづくり』」丸善